五十嵐 清隆 Feed

工事現場では10時と15時が休憩の時間です。昔から決まっているシキタリです。仕事にメリハリを付けるためにも必要な時間です。急がば回れですね。
そんな10時休憩の会話です。

私「いや実は6月に宮本浩ニのコンサート行くんですよ」

Tさん「エレカシですか。いいですね。彼は声が良いですよね」

Kさん「僕はたまたまそっちの業界に知り合いがいて、奥さんからそのツテでビックバンのチケット取ってよと言われるんですよ。で何とか1回取ったんですよ。前から3番目の凄い席」

私「近すぎるのも案外良くないのでは」

Kさん「それがそんなことなくて、迫力満点でした。奥さんから初めて結婚して良かったと思ったと言われましたよ」

Tさん「家に帰ったら目の前にもっと良い男いるだろと言わなきゃダメですよ」

この会話何気ないのですが弾んだ会話になり何か嬉しくなりました。

仕事の仲間でギスギスはダメですね。
皆が皆幸せになる権利があります。そこを認めることからすべては始まりますね。個人も組織も社会も国も世界も。

そんなことを思ったのも先日定食屋さんでの出来事が故です。ビルに挟まれたカウンターが8席程の間違いなく昭和に建てられた、少し傾いている一軒家の定食屋さんです。お昼はいつもおじさんサラリーマンで混んでいます。私が生姜焼を食べ終えたところに、そんなお店と少し場違い感のある若者女性が入って私の隣に座りました。何を頼むのかなと思ったのですが、帰り支度の私は美味しく食べて下さいと思いながら店を出ました。

世の中は非情なところだからもっと強くならなくてはならない。今読んでいる本の一節です。その通りだと思います。
でもそんな戦いではない世界もきっとあるに違いない。いつの日かそんな場所を自分発信で作ることが出来れば良いなと思います。少し疲れたジー様の見果てぬ夢でしょうか。

スケールはごく稀にですが人を評価する言葉として使われますね。「スケールが大きい」とか「ちっちゃ」とか。日本語に訳すと器になりますでしょうか。

ただ、人を褒める時に「あなたはスケールが大きいですね」とはあまり言いませんね。強いて言えばナポレオンを評する時ぐらいでしょうか。
私も昔からいつの日かスケールの大きな人間になりたいと思って生きてきました。私ぐらいの人ならいつかはそんな風になれるのだろうと信じていましたが、半世紀を越えても一向にその徴候は現れません。
先日、会社の色の魔術師H林さんに
「リフレッシュ休暇で長期休暇とるよ」
「1ヶ月?」
「いやいや1週間」
「ちっちゃ」
と言われました。どうもそんな毎日です。

実はこんな話しをするのも宮本浩次のコンサートチケットが当たったからなのです。
自慢?実は自慢です。ちっちゃ。6月に行ってまいります。

そしてその宮本さんの曲の中で最近お気に入りの曲がシャララで、歌詞がスケールのお話っぽいのです。決して成功したぜという歌詞ではないのですが、なぜか勇気が出てきて日曜日の夕方などに聞くと励まされます。
説明は難しいので一部抜粋します。ごめんなさい宮本さん歌詞使わせて下さい。

星に願いをかけた二十歳の頃
いかした大人になりたいってよ
粋で洒落てて金持ちで
愛する人のために命さえ捧げるそんな大人さ
いつしか時はながれ 大人になった俺が
相も変わらず心の中で叫び続けていた
いかした大人になりたいってよ
立ち止まって夜空見上げたのさ

いかした大人になりたい。良い言葉です。
そうですね。いかした大人になりたいですね。
そうです。いつの日かいかした大人になりたいです。

先日遊びに来ていた孫が夕飯を食べながらウクライナとか戦争などと急に言い出し、そこで一体何が起きているのかと質問して来ました。
社会情勢を説明するのは難しいですね。自分が大体でしか理解していないことを言葉にして、春から小学生になる孫に分かりやすく説明するのはかなり困難です。 しかし、孫が世界に目を向けることはそれ自体は願ってもないことで、ここは腕の見せ所です。私の僅かな世界情勢知識を総動員し聞きかじりの識者の見解も必死に思いだしながら頑張って説明しました。
全く上手く説明出来なかったのですが伝えたかったことは

1. 戦争は常に自衛を大義名分として始まる。この戦争はまさにその一つの例となってしまった。

2. これまでいくつもの戦争のニュースを聞いて来たが、その中でもこの戦争は特に注意を引くがその理由がよく分からない。 現代の欧州で起きた20世紀的な戦争だからだろうか。

3. 冷戦後のアメリカを中心とする世界秩序が機能しなくなり西洋文明、ユーラシア文明、アジア文明の3つの文明の衝突の時代となりつつある。この戦争はその流れのなかで始まったと捉えるべきで、私達日本は地理的にはアジアに位置するがどの文明に軸を持つのか、または違う道を選択するのか考えなければならない。

4. 20世紀は戦争の世紀と言われ2度の世界大戦を始めとして、地球上に戦争のない日はなかった。しかし、21世紀の現在では武力で領土を拡大することは私達人類が目指す世界とは真逆であるといった考えを世界中の人々が共有することになった。

5. しかもSNSの発展によりそごで何が起きているのかがリアルタイムで世界に発信されるため領土的野心といった人類の命題に背く戦争は世界の全ての人に監視されることになり常識的にはあり得なくなった。
ただし、SNSの発展は逆にフェイクニュースを生み出していて私達は自分の頭でより物事を考えなければならない時代になった。

6. 誤った指導者を選ぶことは国を間違った方向に進めることになる。これを防ぐためには選挙で1票を投じることから始まる。たがらこそまずは選挙に必ず行かなければならない。

7. 言論の自由が許される民主主義こそが大切である。

8. 自分自身で考えるために日本でそして世界で起きていることには常に目を向けていなければならない。

9. 戦争が産み出すものは悲しみと憎しみの連鎖でしかなく、戦争は外交の延長線上にあるなどと言うが少なくとも現代では戦争で解決できるものは結局は何もなくなった。

になるのですが全く伝わらなかったと思います。頑張って修行します。
孫といつまでも楽しく過ごせますように。

久しぶりに本を一冊読みました。「暁の宇品」。日本軍輸送船部隊からみた太平洋戦争を事実に基づいて書いた物語です。

硬質ながら分かり易い文章はしっかりした取材に基づき説得力があります。読後はこれが私達の国の歴史の一幕かと、その残念な気持ちを誰かに伝えたくなる一冊です。

開戦前の日本軍参謀本部は声高な積極論に支配され、日本の国力の現実を根拠とする慎重論は発言さえ出来ない状況になっていたようです。皆が皆、心の中でこれはまずいと思っているにも関わらず、それを口にする者は皆無で対米開戦に向けて転がるように進んで行きます。

暴走する組織の恐ろしさ、保身に走る個人の小ささを知る時、全く他人ごとではなくこれはやはり教訓にしなければならないと感じます。

司馬遼太郎さんはエッセイで太平洋戦争は南太平洋という地球そのものに兵隊をばら撒いたただけの戦いと書いていましたが、本当にその通りなのだなと感じます。米軍の攻撃に輸送船団は壊滅し南方の日本軍は補給を断たれます。戦い以前の問題に状況は変化して行きます。さらに驚くべきは南方の資源確保を目的として始めた戦争にも関わらず、占領地からその資源を国内に送る手段を考えていなかったというくだりです。国力を無視して地球の裏側にまで軍を進めるならやはりそれは無謀と言うことなのでしょう。

読書は良いですね。最近ではスマホばかりでめっきり本を読まなくなりました。でもスマホのせいにしてはいけませんね。また以前のように読書を再開したいと思います。良い本に出会うことは幸せです。

スケールの大きな人間になりたいと願い続けてはや半世紀。現状こんな仕上がりです。
結局スポーツも歌も大会好きで紅白も五輪も好きです。庶民代表です。そして東京五輪が終わったと思ったらまたすぐに北京五輪ですね。熱い戦いが楽しみです。

12月から1月にかけて国立競技場のすぐ近くのマンションでペイント工事がありました。3回現場に行ったのでその行き帰りの合計6回国立競技場横を歩きました。
一つ心配事です。そうです、そこには常に人がいないのです。秋の海と言いますか、祭りの後の神社と言いますかとにかく人がいないのです。しかも扉は固く閉ざされ塀はあくまでも高い。人を寄せ付ける雰囲気が全くありません。
君、入れるわけないでしょと語りかけて来るようで、木の温もりの建物と裏腹に日本国の権威のような圧を感じます。建設費1569億円、年間維持費24億円。収支計画はどのようになっているのでしょう。まさかと言うかきっとと言うか絶対と言うか税金をあてにしている?

実は国立競技場建設で揉めていた時に五十嵐案がありました。
友人NとOの2人にしか発表してませんが。
「そこに何か凄いものがあるより何もない方が遥かに凄い」という五十嵐理論がベースになっています。
持続可能社会を先取りする案で、採用されていれば世界から尊敬される日本が実現していたこと間違い無しです。つまり「建物は一切作らずに一面芝生にする。その中にトラックレーン等陸上競技設備のみ敷設する。開会式含めてそこで行われるものは全て無料開放。五輪終了後は全て公園にする」
どうでしょうか。
オープン&SDGs五輪です。結局コロナの無観客で収入0。収入無し可でしたね。警備等大変かも知れませんがなんとかなるでしょう。しかも五輪後は東京の真ん中、青山の一等地に広大な芝生の公園です。ワクワクしませんか。皆遊びに来るので経済効果もバッチリです。
そんなの無理?パリ五輪はセーヌ川川下りで開会式をやると新聞にありました。パリジェンヌやりますね。人の思いは一歩踏み込めば現実になるのですね。江戸っ子も負けてられません。

ところで北京五輪は雪が足らず人工雪を作るために4900万ガロンの水をまくそうで、その結果春雪解け水で洪水が起きる可能性があるそうです。実際にはまさか洪水まではないとは思いますが。

人類の歴史を遡ると私達は様々な失敗をしているようです。名著とてつもな失敗の世界史を読むと穀物を守るために雀を駆除した結果虫が大量発生して穀物が全滅するなど、人の愛らしい失敗例がいっぱいです。先日の新聞によると最近では牙のない象が増えているそうです。牙のある象は密猟で減り牙のない象が残り遺伝的にその子孫は牙無し確率が高いからだそうです。

国立競技場、人工雪、雀、象の牙を思う時私達人類全体のハカなさと言いますかオボロげなさと言いますかカワイらしさと言いますかそんなものを感じざるを得ません。放っておくと私達の欲望は壮大な無駄を作り出し続けるのかも知れませんね。

さて1月も月末です。そうとは言っても無駄に出来ない1年が始まりました。頑張ります。
皆様本年もよろしくお願い致します。