2016年3月

PIGMENT TOKYOにて人生初の日本画も習って参りました。
今回の作品テーマは「桜」。

素朴な素材から作られる画材、素材を熟知した絵師達によって研究されてきた技法。

奥深く、いつか習ってみたいと思って思いつつ手の届かない存在となっておりましたが、

思いが叶い1枚の作品を仕上げることができました。

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日本画に対するハードルが下がったのは、昨年オープンしたPIGMENT TOKYOがきっかけ

です。伝統画材をもっと多くの方に広め、日本中にあるこだわりの画材を一同に集め、初心

者からプロまで実際に見て触って試すことのできる体験型ショールームで、必要な説明は

作家活動もされているスタッフから受けることができという素晴しい施設です。

接着剤の役割をするもの+色をつけるもの。

西洋画でも東洋画でも伝統画材は自然素材からつくられてとてもシンプル。

動物の皮や骨からつくられる膠(接着剤の役目をしているもの)に、天然石を粉末にした

岩絵の具(顔料)を溶いてつくります。

(写真下:実際に湯煎して柔らかくしている途中の膠(にかわ)です)

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次に岩絵の具。鉱物(石)を細かく細かくした粉を接着剤に馴染ませ、表面に定着させて

おります。鉱物が粗いほど元の鉱物の発色となり、細かいほど白っぽい発色となります。

故に発色の良い色できめ細かい顔料を入手するためには多くの技術や貴重な材料を必要

とするためとても高価でした。現在でも岩絵の具は量り売り。

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ペイントにも画材づくり。

顔料の生い立ちや、動物の種類によって使い勝手が異なるという説明を受け、画材になる

までの下ごしらえが如何に重要であるかということを知りました。季節によって使い分ける

ことなど日本で培った知恵の集積もしかり、日本画を見る視点がこれから変わりそうです。

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春以降もワークショップ目白押しのPIGMENT TOKYOにみなさんもぜひ一度足を運んで

みてはいかがでしょう。次回テーマは「カキツバタ」のようです。

PIGMENT TOKYO
https://pigment.tokyo

ポーターズペイント中込でした。

こんにちは。

セルフペイント担当の竹藤です。

お客様からポーターズペイントを塗った壁のお写真をいただきました。

今回はなんと朝、昼、夜のお写真を送ってくださいました。

 

ポーターズペイントは世界で一番多い量の顔料を使い色を表現しています。

そのため1色に含まれる顔料の量が多く、外から入ってくる光の加減や照明で印象が変わります。

 

冬の朝、コーヒーを飲みながら見たとき。

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春の暖かい日差しの中でお友達と楽しいランチをしているとき。

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夜、家族との団欒のとき。

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そんな生活の1コマをポーターズペイントは豊かにします。

日本人は昔から「昼間みた桜の花びらの色」「夕方にみた桜の花びらの色」など、

微妙なニュアンスの違いを見分け表現してきました。

そのため日本人は色を見分ける能力が海外の方よりも高いと言われています。

ポーターズペイントは顔料が多いことによりその微妙なニュアンスを表現することができます。

またもともと日本人は農耕民族だったため、季節とともに生活をしてきたという歴史があります。

季節の移り変わりを感じることで「健やかさ」や「成長」を意識し、私たち日本人は「豊かさ」を感じるのかも知れません。

皆さんこんにちは。

伝統文化萌えカラーコーディネーター安田です。

 

「緑を見る、あるいは緑の空間に囲まれるとリラックス効果がある。」

というのを聞いたことのある方は多いのではないでしょうか?

 

しかし、空間のコーディネートをさせていただく上で、

全部まとめて「緑」と言ってしまうのはあまりにも雑だと思います。

 そもそも本当に緑にリラックス効果があるかどうかに懐疑的な方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、「癒しの緑」についてのお話です。

 

1、「緑=リラックス」は本当か

そもそもなぜ、緑色が「リラックス」という言葉と結びついているのでしょうか?

それはきっと「植物の緑」「自然の緑」とごちゃまぜになってしまっているのでしょう。

 

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植物に囲まれると、

木陰があり、風が吹けば葉のこすれる音が耳に心地よく、地面の蒸散や、光合成による酸素の供給、マイナスイオンが出ているなど、

「リラックスする」環境が整っているので、一概にそれが「緑色だからリラックスする」とは言えませんね。

確かに、紅葉していても、リラックスしますよね。

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つまりこの時点では、

「植物」と「リラックス」の因果関係はわかっても、

「緑」と「リラックス」の因果関係はありません。

2、緑=目に負担のかからない色

ここから少し突っ込んだ話になります。

人間の目は、光を捉える視神経が3つ存在します。S、M、L錐体(すいたい)です。

この3つはそれぞれに反応する光の波長が異なります。

S錐体=短波長の青系

M錐体=中波長の緑黄系

L錐体=長波長の赤系

 

これら3つの錐体の反応を合計したのが「標準視感度」です。

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そして、標準視感度がもっとも強い反応を示すのが555nm(ナノメートル)で、これが「緑」なのです。それも少し黄よりの緑がベストのようです。

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つまり、もっとも知覚しやすく、目に負担のかからない色なのです。

その結果、積極的な「癒し効果」はありませんが、「目に優しい色」という意味でリラックス効果があるというのは本当と言えます。

これでようやく

「緑」と「リラックス」の因果関係が分かりましたね。

 

3、「連想するもの」と「効用」をごっちゃにしない

さて、今回わかったように、

植物に囲まれている環境を「緑色に囲まれている」と変換してしまうと、

その効用の論点がずれてしまいます。

 

色そのものが持つ効用と、

その色から連想するものの効用をごっちゃにしてしまうと、

コーディネートをする際に間違った方向に導いてしまうことがあります。

 

ちなみにNENGOのオフィスは淡いグリーンのオリジナルカラーです。

 

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私たちは、色のことだけを考えるのではなく、

そのものの持つ質感や特性まで理解したうえで、最適なご提案をさせていただきます。

空間の「心地よさ」のことでお困りのことがあれば、

是非お声かけください。

 

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では。

やっと暖かくなってきたなぁと思ったら、
また寒い日が続いていますね。

そんな寒い日にはお鍋が食べたい!
ということで、恵比寿にある「博多もつ処 煌梨(きらり)」さんにもつ鍋を食べに行って来ました。
煌梨の店主の柏木さんがポーターズペイントに来てくださったのは去年の夏頃でした。
「お店の入り口の扉をセルフペイントしたい」とのことでした。

入り口の扉部分バッチリ塗ってくださってました!

柏木さんとも久々にお会いでき、
もつ鍋はもちろん、その他のお食事もとても美味しかったです。
居酒屋さん感覚でお酒とおつまみを楽しむだけでも充分満足できます。
ただ煌梨で1番人気の「煌梨鍋(とろろ醤油味)」は食べないと損です!

最後は店主の柏木さんが店内を案内してくださり、お見送りまでしてくださいました。
扉だけでなくトイレなども店主が自ら手を動かして仕上げていらっしゃいました。
お腹も心も満たされた1日でした。

ぜひ恵比寿と目黒に行かれた際には、
博多もつ処 煌梨にも行かれてみてはいかがでしょうか。

【博多もつ処 煌梨】
http://hakata-kirari.jp/



ポーターズペイント 竹藤

皆さんこんにちは。
伝統文化萌えカラーコーディネーター安田です。

風土色、という言葉をご存知でしょうか。
風土の違いから生じる、それぞれの土地の「特徴や特色」のことです。
そのなかでも、風土の色彩について考えてみますと、ポーターズペイントとの面白い共通点が見えてきました。

日本の風土の色彩がどんなものか。

現在読んでいる『日本の都市から学ぶこと~西洋から見た日本の都市デザイン~』(バリー・シェルトン著 鹿島出版社)に、面白い記述がありました。

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明治時代、長い鎖国明けの日本に来たモース(大森貝塚を発見した人)が、西洋人からの視点で、初めて日本の住宅について語っています。

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「外観が脆弱であり」「色彩に乏しい」ことに「確かに失望した」(中略)
こうした同じ建物が集合して「薄暗い効果」と「全般的な単調さ」をもった「住宅の灰色の海」を生み出している。

***

と。
想像するに、通りをはさんで両側に、長屋が同じ素材で、同じつくりで軒を連ねていたのでしょう。
確かに、同時代にヴィクトリアン様式が流行していたアメリカ人が初めて見たら「地味だ。」と思うでしょう。

しかし、もう一歩、想像を進めて、考察していくと、違う景色が見えてきます。

江戸時代後期、幕府による「奢侈禁止令」で、「庶民は贅沢すな!」というお達しがあったことを逆手にとって、江戸っ子たちがその状況を楽しむために編み出した

「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」

という「地味色の見本帳」がありました。
読んで字のごとく、茶系で48色、グレー系で100色、くすんだ色をこれほど細かく使い分けていたのです。粋ですね!

ぱっと見区別がつかない色差を、巧みにあやつり楽しむ「風土」がそこにあったのです。

さて、ポーターズペイントの色をつくる上で、
「茶系顔料」は最も重要な要素を占めていると言っても過言ではありません。

世界一豊富な16種類の顔料のうち、実に6種類も茶系の顔料が占めているのです。

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これによって生み出された色は、
全体にトーンを落とし、くすませてくれます。
結果として私たちにとって「落ち着き」を与えてくれる色に仕上がります。

「桜鼠」は四十八茶百鼠のうちの一色です。
ポーターズペイントの「和の色」のカラーカードにもあります。

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ポーターズペイントの中でも人気色の一つで、
微妙に灰色を帯びた淡い桜色です。

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心地よい空間をつくる上で、
その土地の気候・風土・歴史・文化から、
大きな文脈を読み解いていくと、
配色のヒントが隠れていることがあります。

ご自宅のカラーコーディネートをお考えの際のヒントにしてみてください。

では。