東京から富士山を見るとその手前に丹沢の山々が連なります。その丹沢を見ると私は決まって「詠み人知らず」という言葉を思い出します。
詠み人知らず。
数ある日本語の中でも最もロマンチックな言葉ではないでしょうか。「奈良、平安時代の和歌で作者不明のもの」といった意味と思いますが、ここでは大きく変えて遥かな日本の歴史の中で名も知れない人々が一生懸命に生き、そしてその子孫が私達だという意味で考えて下さい。少し無理がありますでしょうか。
連綿と続く人々の営みとそれを見てきた山や河、青空、雲、夕陽。これは千年をこえる昔から、そして未来永劫も続くものです。
その一方で人は祖先は会ったことがあっても二代前の祖父母までが一般的です。父母にしても若い時のことは想像の領域です。
その想像するしかない永遠の時の流れの中で後から続く後輩たちに、例え詠み人知らずであっても何かを残すことが出来るでしょうか。
その何かを創り出すために毎日があるのだと心に定めやって行こうと思います。
本年もよろしくお願い致します。