映画関ケ原を見ました。日本史最大の戦いをうまくまとめていて見応えのある映画でした。
映画にはなかったのですが、原作の司馬遼太郎の関ケ原からエピソードを一つ。
ご存知の通り関ケ原の戦いは小早川秀秋の裏切りで東軍の勝利に終わります。実はその小早川軍の中でただ一人だけ「そんなバカな」と裏切りに加担しなかった武将がいました。大野主馬。小早川家59万石の内で1万石を領していたそうです。
大野の陣に駆け込み下馬し秀秋の命令を伝える伝令将校と驚き拒絶する大野主馬とのやり取りは利害、正義、命運と様々なものを天秤にかけその場で瞬時に決断しなければならない土壇場のやり取りです。生と死が眼前に広がる戦場で思ってもいなかった状況が発生し、しかも全体の流れに抗い自身の考えを貫き通すなど並大抵の精神力ではありません。だからこそ現代の私たちから見てこういった行動が美しいと思えるのでしょうか。
先人たちの必死の物語が歴史をさらに奥深いもの、興味深いもの、そして時に滑稽なものにしていると思います。
司馬風に言うと「たった一人だけでも裏切りに従わなかった者がいた事は、歴史という巨大な人間物語の中で後世の我々の大きな救いになっている気がする」でしょうか。