暗がりに「金」を ~陰翳礼賛より~

皆さんこんにちは。
伝統文化萌えカラーコーディネーターの安田です。

私のバイブルの一つである谷崎潤一郎著「陰翳礼賛」にこんな記述があります。

「奥の奥の部屋へ行くと、もう全く外の光りが届かなくなった暗がりの中にある金襖や金屏風が、幾間を隔てた遠い遠い庭の明りの穂先を捉えて、ぽうっと夢のように照り返しているのを見たことはないか。(~中略~)私は黄金と云うものがあれほど沈痛な美しさを見せる時はないと思う。(~中略~)それで私には昔の人が黄金を佛の像に塗ったり、貴人の起居する部屋の四壁へ張ったりした意味が、始めて頷けるのである。」

本を読んでいて、文字を目で追っていて、こんなにも恍惚とした気持ちになった経験はそう多くありません。

秀吉の「金の茶室」に代表されるように、「金」というと、とかく絢爛豪華の象徴として考えられがちですが、
谷崎的に言えば、それは「隅から隅までムキ出しに明るい」空間においてのことであって、
「暗がりを持つ」日本の伝統的な空間においては、「沈痛な美しさ」へと昇華されるのです。

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<金の茶室。正に絢爛豪華!>

私も最近、そんな経験をしました。

目黒にある雅叙園、「百段階段」。
こちらも、間違いなく贅を尽くした空間ですが、蝋燭や間接照明、フットライトなどの弱い光に湛えられたとき、一つの発見がありました。

「長押」や「格天井」に施された金彩です。

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<長押・廻り縁に施された金彩>

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<格天井の金彩>

なるほど、金彩が施された部分が「リフレクター」の役割となり、
光を拾って、ぼんやりと浮かび上がっていたのでした。
秀吉の金の茶室も、
夜の茶会では妖しい光に満ちて、もしかしたらこの上なく幻想的な空間になるのではないでしょうか!?

現代の空間で暗がりを持つ空間、
それは例えば寝室ですね。
ポーターズペイントの中でも
DUCHESS SATIN(ダッチスサテン)やLIQUID GOLD(リキッドゴールド)は、
そんな空間におすすめです。

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<PORTER'S PAINTS ダッチスサテン、リキッドゴールドシリーズ>

日本特有の空間要素の一つ「陰翳」。
夜の時間の長い季節に、
ご自宅をより美しく彩ってみてはいかがでしょうか?

では。