皆さんこんにちは。
伝統文化大好きカラーコーディネーター安田です。
先日、京都で古民家の実測に立ち会ってきました。
そこには、そこで暮らす「家族の生活の変化」とそれに寄り添うように変化を受け容れていった「家、空間の変化」がありました。
そこは推定築120年ほどの家で、大正中期、昭和中期(1964頃)に大きな改築がある家です。
この改築にあたる二つの時期は、
社会的に見れば、日本にとても大きな「生活の変化」がもたらされた時期でもあります。
【大正期】
大正デモクラシーの流れで、「家を支える2本の柱は主人と『主婦』である。」とし、
初めて『主婦』という考え方が広がり、家庭内における女性の地位向上が見られた時代。
【昭和中期(東京五輪)】
「もはや戦後ではない」といわれた高度経済成長期。テレビ・冷蔵庫・洗濯機、いわゆる三種の神器が普及しだした頃。日本人の暮らしも、「畳に床座」の生活から海の向こうの「カーペットに椅子座」へと急激に変化した時代。
こんな大きな「暮らしの変化」をすっぽり受け容れたこの家は、
その中に様々な「豊かさ」を内包していました。
「空間の豊かさ」の基準は、
住まい手の趣向や、社会の大きなうねりのなかで絶えず変化しています。
ただ、それを大きく包み込んでいる家そのものに
「更新する余地のある豊かさ」
という太い大黒柱となる価値基準があるのです。
人の生活というソフトは絶えず変化し、
家というハードはそう簡単には変化できない物です。
だからこそ、ハード側に「変化を受け容れる余地」を意識的にデザインしてあげるのが、
本当に長く住める住宅なのではないでしょうか。
古民家を見るとき、
経年変化した美しい木材を見るだけでなく、
そこにいた、生活者の暮らしぶりと、その変化に目を向けると、
「更新されてきた家の歴史」を見る事ができます。
では。